30代40代のエンジニア、人生100年時代の働き方

斜陽メーカー勤務のエンジニアが人生100年時代の働き方について考察する。

【働き方】インダストリー4.0

世界の産業は環境の変化に伴い変わっていくのか、それとも人為的に変わっていくのか。

ドイツで提唱されているインダストリー4.0(=第4次産業革命)。ドイツが次世代の産業の主権を握るべく2011年に提唱したもので、人為的なものを感じる。そのコンセプトはスマートファクトリー、すなわち考える工場である。その前提にあるのはIOTやAIといった時代を象徴する技術であり、環境がベースとし、その流れに乗る形で大きな変化を引き起こそうとしているのだ。

インダストリー3.0は人間がプログラムした通りに生産する工場である。ただ、工場立ち上げ時に人間が想定したプログラムであるため、その後の環境変化に対応することは困難であるという弱点があった。

インダストリー4.0ではIOTにより工程の細かなデータ収集とビックデータ解析をベースにAIがよりよいものに自ら更新していく工場である。ドイツのコンセプトはこれらのデータ共有により単一工場ではなく、周辺工場をブリッジするような工程の柔軟性を持たせることで、これまでに不可能であった多品種少量産、さらにそれを超えた個別生産を可能とすることである。例えばポルシェの外観で、中身がEVであるなど、個人の好みにあった自動車が低コスト、短納期で作ることができるのだ。

日本の自動車産業OEMを頂点としたピラミッド構造となっており、かんばん方式といった効率の高いシステムにより高い競争力を持っている。ただ、ピラミッドの下に行くほど利益率が低かったり、在庫管理が不十分であったりという傾向があり、サプライチェーン全体の効率化という観点では課題が残る。また、消費者からの注文を起点とした在庫レスのプル生産の域にはまだ達していない。

効率化、さらにその先の新たな付加価値を生むためにインダストリー4.0のようなコンセプトは非常に重要である。

さて、このような状況下で個人にできることは何か。サプライチェーンの効率化の前提はプラットフォームの共通化である。裏を返せば、プラットフォーム化しやすい技術がディファクトスタンダードとなり得るということだ。すなわち、デジタル化を見越した技術構築が注目される可能性が高いということである。

今後、デジタル化の流れは避けられない。その流れにどのように乗っていくか、チャンスとして捉えられるかが今後の明暗を分けると考える。