30代40代のエンジニア、人生100年時代の働き方

斜陽メーカー勤務のエンジニアが人生100年時代の働き方について考察する。

【働き方】コミュニケーションのコツ

仕事をする上で、最も重要な事はコミュニケーションをうまくとることだ。

最近ではAIに仕事を取られる、などと言われもするが、人と人とのコミュニケーションを代用するのは当分先の事だ。特に日本のコミュニケーションは阿吽の呼吸と言われるように言葉で現れる部分が特に少ないので細かな心情の読み取りは人間でも難しい。

ポイントとなるのはいかに相手にしゃべらせること。マシンガンのように自分のことを話す人を見かけるが、結果として本当に相手が納得しているのだろうか。話が長くうんざりしているか、反対意見を言うと2倍、3倍に返ってくるため反論を押し殺しているか、本当のところはわからない。相手が納得したと勘違いし、それが積み重なり部下が会社を去ったが、本人には結局原因がわからない。

自分が沢山話をしたところで、得られるものは少ない。ビジネスでも沢山話すことがメリットにつながることは少ない。もし自分の話を聞いてもらいたいのであれば、コミュニケーションではなく、プレゼンという形に切り替えて行えば相手の印象も全く異なるものとなる。

相手に話をさせ、相手の話をベースに組み立てていくことでコミュニケーションエラーを避けることができるのだ。

 

【働き方の変革・転職】テクノベートとは

テクノロジー+イノベート=テクノベートなどという造語が出てきているように、今まさにテクノロジーによって世界が変わろうとしている。

AI、IOT、ビッグデータなど、新しい技術の活用によって、肉体労働が人から機械に変わったように、今度は 考えることが人から機械に変わろうとしている。

このテクノベートと言われる時代に最も注目されているのは人自身だ。

仕事が機械に奪われていく中、人でしかできない仕事は何なのかを考える必要がある。逆に人に置き換わっていく機械に、人と同じような道徳感や倫理観は必要なのかといったことも議論になっている。まさに自分たちにんげんについてより深く考えなくてはならないのだ。

今回の技術革新は第4次産業革命と言われているが、過去の産業革命を見ても肉体的に楽になってきたが、逆に精神的には負担が大きくなっていると思われる。なぜなら、より多くの作業を機械がこなしており、労働人口も増加しているのにも関わらず、労働時間は減るどころか同じか増加傾向にあるからだ。

人がこうなりたい、ああしたい、といった願望を叶えていくことがビジネスとなり、それらはAIでは変わることができない。テクノベートによって、新しいテクノロジーが生まれた、その一方で自らの可能性について再検討するそういった節目なのである。

【働き方】インダストリー4.0

世界の産業は環境の変化に伴い変わっていくのか、それとも人為的に変わっていくのか。

ドイツで提唱されているインダストリー4.0(=第4次産業革命)。ドイツが次世代の産業の主権を握るべく2011年に提唱したもので、人為的なものを感じる。そのコンセプトはスマートファクトリー、すなわち考える工場である。その前提にあるのはIOTやAIといった時代を象徴する技術であり、環境がベースとし、その流れに乗る形で大きな変化を引き起こそうとしているのだ。

インダストリー3.0は人間がプログラムした通りに生産する工場である。ただ、工場立ち上げ時に人間が想定したプログラムであるため、その後の環境変化に対応することは困難であるという弱点があった。

インダストリー4.0ではIOTにより工程の細かなデータ収集とビックデータ解析をベースにAIがよりよいものに自ら更新していく工場である。ドイツのコンセプトはこれらのデータ共有により単一工場ではなく、周辺工場をブリッジするような工程の柔軟性を持たせることで、これまでに不可能であった多品種少量産、さらにそれを超えた個別生産を可能とすることである。例えばポルシェの外観で、中身がEVであるなど、個人の好みにあった自動車が低コスト、短納期で作ることができるのだ。

日本の自動車産業OEMを頂点としたピラミッド構造となっており、かんばん方式といった効率の高いシステムにより高い競争力を持っている。ただ、ピラミッドの下に行くほど利益率が低かったり、在庫管理が不十分であったりという傾向があり、サプライチェーン全体の効率化という観点では課題が残る。また、消費者からの注文を起点とした在庫レスのプル生産の域にはまだ達していない。

効率化、さらにその先の新たな付加価値を生むためにインダストリー4.0のようなコンセプトは非常に重要である。

さて、このような状況下で個人にできることは何か。サプライチェーンの効率化の前提はプラットフォームの共通化である。裏を返せば、プラットフォーム化しやすい技術がディファクトスタンダードとなり得るということだ。すなわち、デジタル化を見越した技術構築が注目される可能性が高いということである。

今後、デジタル化の流れは避けられない。その流れにどのように乗っていくか、チャンスとして捉えられるかが今後の明暗を分けると考える。

 

【転職】給料を上げるには希少価値の高い存在になる

オリンピックで金メダルを取る確率は100万分の1らしい。種目にもよるだろうが99万9999人に打ち勝たなければならない。生まれ持った才能や生まれ育った環境が合致した選ばれた人間がたどり着く境地だ。

しかしビジネスマンとして100万分の1の存在になることは実はそこまで難しいことではないのだ。一つの分野で十分経験を積めば、100人に1人くらいの存在になる。それを3つの分野で達成できれば100×100×100で100万分の1となる。

ただし3つが掛け算にならないといけないため、組み合わせは重要だ。

今現在の業務を極め、100万分の1を目指すか、希少性を上げ、代わりのいない存在となるか。節目ごとに一度立ち止まって戦略を練ることも必要かもしれない。

 

【働き方・転職】日本の雇用について

日本の雇用制度は終身雇用を基本としており、リストラはあまり行われない。

サラリーマンにとってこの構造はありがたいし、維持してもらいたいと思っている。しかし、終身雇用は今後も続くのだろうか。

 

こんな話がある。

建機の大手、コマツは赤字転落の際、リストラを含む抜本的改革を行なったが、それは当時就任した社長である坂根氏の過去の経験によるものであった。

アメリカにてコマツ子会社の小松ドレッサーの社長時代、現地スタッフで構成された現地子会社10社と日本スタッフからなる子会社1社を有していた。景気減退により縮小を余儀なくされたが日本スタッフの雇用は調整できず、他工場の人員調整により乗り越えた。

従業員調整のできない日本子会社は、その後 景気変動への対応力が低いことから投資が見送られ、当然人員補充もなされず、従業員の高齢化が進み生産性の低い工場となった。

この経験から雇用重視の制度は競争力低下を招くと学んだそうだ。

 

終身雇用を前提とした雇用制度では、容易に人員を増やせないため、1人1人の業務時間が長くなる傾向がある。また雇用確保、既存設備の活用のため、本業で勝負できなくなってくると別の戦略を取らざるを得なくなってくる。すなわち多角化だ。

これは私の会社でもまさに同じことが起こっており、日本全体もこのような傾向があるのではなかろうか。日本人は効率が悪く労働時間が長いと言われているが根本原因は終身雇用前提の雇用制度に起因するのではなかろうか。

 

長々と書いたが、結論としては、国際競争に勝つために今までの働き方を変革する動きが本格化するなかで、その根源である終身雇用に手をつけられるのも時間の問題かと思われる。

 

 

 

【戦略】基本と最高を知る 最短で学ぶ方法

一から何かを学び始めるのは非常に労力のかかることだ。効率よく学び、知識レベルを上げていくにはどうすればよいか。最近仕事で新しい案件に着手することが多く、ヒントとなるものを探す中で、もっともピンときたのは基本と最高を知る、ということだ。

 

 

基本を学ぶことで、その分野の入り口に立つことができる。案外、この部分は文献等でこなすことができる。ただ、そこから一歩先に踏み出すと途端に自分の現在地がよくわからなくなってしまうのだ。

しかし、もし最高のものがどのようなものであるかを知ることができれば、自分の現在地を明確に意識することが可能となるのではなかろうか。 

スポーツのようにプロがいて容易にプロのプレーを見ることができれば、客観的な自分の実力が確認でき、その先の指針も決めることができるだろう。

すなわち闇雲に進むのではなく、その分野の最高のものは何かを探索し、それをもとに指針を決めることが新しい分野に挑戦する際に非常に重要となる。

 

何が最高かの判断がつくレベルに達することがまず必要で、その後効率よく学ぶには一度足をとめ、最高のものは何なのかを探索することをおすすめする。

 

【働き方・転職】業務のポートフォリオ

ポートフォリオとは分散投資を前提とした投資先の組み合わせのことであるが、業務のテーマにおいても同様の考え方が必要である。

ポートフォリオを検討する目的はリスクの低減であり、経済を俯瞰したときに互いが影響し合わない多数の投資先を用いれば、リスクを最小限に抑えることができる。業務、特に研究や開発では数年、または何十年も先を見越したテーマを扱うため、各人がバランスよくテーマを持つのがよい。

ポートフォリオの観点は成果・動機・成功確率である。成果は収益や利益への貢献度が一番わかりやすいが、それだけでなく、中長期的な観点から技術の蓄積の波及効果という観点も含まれる。動機は内的モチベーションであり、社会や科学発展への貢献、知的 好奇心を満たすなど個人の考え方に依存する。成功確率はその名の通りで達成するための難易度を示す。

これらをマトリックスで書き出してみてバランスよく組み立て、チームや各人のモチベーションを保ち、成果の出やすい構成を検討することが重要だ。