30代40代のエンジニア、人生100年時代の働き方

斜陽メーカー勤務のエンジニアが人生100年時代の働き方について考察する。

【働き方・転職】新規事業の始め方 フォックスコンに学べ

斜陽メーカーのエンジニアである筆者は、この沈みゆく船を救うべく新規事業開発を検討する部隊の一員として業務に携わっている。そんな話がうまくいくようであれば我が社は斜陽メーカーというレッテルを貼られる前に成長産業へと主軸を移しているわけだが、全くと言っていいほど上手くいっていない。

事業の大きさと参入する製品の市場規模はマッチしている必要があるのは重々理解だが、新規参入がいきなり大規模なビジネスを展開できることはほとんどない。この辺を理解せず、今盛り上がっている業界に新規参入をかかげても失敗するのが関の山だ。そんな判断が上層部で定常的に行われていたら、ぜひ転職をおすすめする。

しかし、小さなベンチャー企業が参入し大きなシェアを会得するケースも当然、ある。ビジネスは小さく始める大きく育てるその手法を紹介したい。

 

◾️フォックスコンの成長過程

今やシャープすら飲み込んだフォックスコンiPhoneの組み立てを一手に担うこのメーカーは一体どうやって成長したのか。

創業当時、フォックスコンは 小さな射出成形屋であった。射出成形とはプラスチックを形作る方式の一つで、金型に溶解したプラスティックを流し込むことで規定の形状の製品を量産する方式だ。最終製品を作るメーカーから設計を得、それを金型メーカーに発注、それをもとに製品を量産する。

材料であるプラスチックは巨大なグローバルメーカーが握っており利益率は低いものであった。

ここでフォックスコンは射出成形技術を活かし金型作製に乗り出す。これにより設計から作製までのリードタイムを大幅に短縮した。試作を繰り返す最終製品メーカーはこれを大いに喜んだ。さらに成形した部品に付加価値をつけるため、電子部品の生産工程の一部であるメッキ工程に乗り出した。これにより電子部品のコネクター等を生産、さらに金型技術を活かし、コンピュータのマザーボードの生産も手がけるようになった。これにより電子精密部品の製造委託が可能となった。

金型設計を高速で行い、試作に対応する競争力を武器にさまざまなメーカーの設計図を入手、データベースを構築し、さらに金型設計を高速化するというサイクルにより確固たる地位を築き上げた。

結果として世界のスマートフォン市場を牽引するiPhoneを委託製造するまでに至ったのである。

 

フォックスコンは強みを活かし、それを従来の枠組みから逸脱し、新しい強みを得たのだ。

新規参入するのであれば過去の成功例を少しでも参考にし、戦略的に進めることを期待する。